田辺三菱製薬は大きな間違いを犯している: ニューロダームが無価値であると考える理由

弊社は、田辺三菱製薬と取締役会は至急ニューロダーム社の買収を一旦中止するべきだと考えている。ニューロダームもしくはこの買収を後押しする第三者が田辺三菱製薬に対してどの様な説明をしたのか把握していないが、弊社の調査結果により以下のことが判明している:

  • ニューロダームは同社の持続皮下注投与ポンプ薬剤ND0612の市場規模、臨床試験の適切性有効性について不正確な説明をしている。
  • 既にアッヴィ社のDuopa/Duodopaのポンプ薬剤が市場で確立されている。同薬剤は有害事象の発現率が圧倒的に低く適切な被験者群を対象とした臨床試験が行われ、ニューロダームのように、臨床試験の結果を強化するための補助的な経口治療薬であるレボドパもしくはエンタカポンに依存していない。
  • ニューロダームは欧米におけるND0612のターゲット市場規模を患者数最大35万人としている。より優れたアッヴィ社のポンプ薬剤も同じ市場をターゲットとしているが、患者数は3,500人にとどまっている。
  • ND0612は進行期パーキンソン病患者を対象としているが、その有効性試験は、効果を得るために必要な有効成分用量が大幅に少なくて済む早期パーキンソン病患者を対象に実施された。弊社は、ND0612の試験が適切かつ的を射た被験者群を対象として実施されるよう、米食品医薬品局(FDA)が第3相試験を慎重に評価すると考えている
  • ニューロダームのND0612投与ポンプは、汎用部品から構成されるため、独自の研究開発品としての価値はゼロである
  • 現在ND0612については、有効性ではなく生物学的同等性についてのみ試験が行われている。これにより、より迅速なFDAの承認へとつながるかも知れないが、田辺三菱のニューロダームの買収の目的は技術のためである。田辺三菱は、ニューロダームの研究開発の価値をも含めて当買収を行おうとしているが、この妥協(生物学的同等試験のみを実施している)はニューロダームの研究開発の価値の低さを反映するものである。

日本企業は、東芝、森精機、LIXILによる海外買収案件が悲惨な結果となった今、投資家の信頼と資本を失わないために、より徹底したデューデリジェンスを行うことが重要である。弊社は、田辺三菱によるニューロダームの買収が、将来悔やまれるものとなり、同社取締役会は多くの規制や法的クレームなどに対応する必要が出てくると思われる。

弊社は、田辺三菱製薬の取締役会、投資家、資本を提供している金融機関は早急にニューロダーム買収の提案を評価し直すよう勧める。ニューロダームの製品は投資に値するものではなく、全額減損につながると思われるからである。

Viceroyはニューロダームの評価額を直近の簿価 1株当たり4.87ドル以下、企業価値では0ドルと見ている

要約

2017年7月24日、ニューロダームは、田辺三菱製薬株式会社による買収に関して正式な契約を結んだ。1株39ドル、総額11億ドルを現金で買収するというものである。これは、田辺三菱の8億ドルの現金残高のほぼ全てと、2017年の予想フリーキャッシュフローの全てもしくは大半に相当する。田辺三菱にとってひどい買収であると弊社は考えている。

Viceroyは、ニューロダームの評価額を直近の簿価1億3千万ドル以下、もしくは1株 当たり4.87ドルと見ており、ニューロダームの現金の手持ち高にも相当する。これは、企業価値0ドル、田辺三菱の提案取得価格と比べて88%のディスカウントを意味する

田辺三菱とその株主、資本を提供している金融機関は、この案件から手を引くべきである。弊社はニューロダームの薬剤は投資に値するものではなく、買収は田辺三菱にはなんらリターンをもたらさないと考えている。このお粗末なデューデリジェンスは、東芝のグループ会社ウェスティングハウス社によるCB&I ストーン&ウェブスター社の買収で後に61億ドルの減損となった買収を彷彿させる。

ニューロダーム(NASDAQ上場、ティッカーコード : NDRM)は、臨床試験段階にある製薬会社であり、主にパーキンソン病の症状の治療薬の開発に携わっている。具体的には、ND0612の製品群である。

臨床試験や医薬データによると、ND0612H もND0612L も十分なレボドパを提供できず、パーキンソン病の単独治療薬として機能できない

両薬剤とも血中レボドパ濃度を上げるためにエンタカポンを必要とし、同時に経口レボドパの摂取も必要としている。エンタカポンと経口LC/CDはNDRMの競合であるノバルティスによって販売されている。

ND0612の第2相試験には重大な問題が見られた:

  1. ND0612のデリバリーシステムに関する有害事象の発現頻度が高い
  2. 臨床試験の対象群は、ニューロダームの対象市場よりも早期のパーキンソン病患者であり、その結果、良好な臨床結果が得られた
  3. 有効性試験では必要に応じて経口レボドパが使用され、そもそも試験の結果が有効なのか疑問が生じている
  4. 16時間の外来患者の結果が、8時間の入院患者の結果から推測されており、他にもデータマイニング(都合のいい情報を見つけ出す)による結果があるのではないかという懸念が生じている
  5. 真の盲検試験が実施されていない

これらを踏まえ、ニューロダームの第2相試験後のFDAとの会合の結果、有効性から生物学的有用率/生物学的同等性へとアプローチが変更され、ND0612は既存の治療法との比較で「より優れている」ことを示す必要はなく、「同程度」であることを示さなければならなくなった。(しかし)ND0612試験の患者に「必要に応じて」使用された経口LC/CDと、ND0612が「同程度」であることを示さなければならないというのは、弊社には不可解に思える。

 

さらに、ND0612の直接の競合であるアッヴィ社のDuodopa(米国ではDuopaとして販売)は、その臨床試験データならびに既に販売されているという事実から、安全性、有効性ともに高い薬剤であるように思われる。

いずれの場合でも、ND0612薬剤はパーキンソンの全ての病期で必要とされないため、ニューロダームが対象とする市場規模は、証券会社のアナリストの予想と比べて著しく小さい

弊社の考え:

  1. 既に同様な薬剤が存在すること、価格が高いこと、有害事象の発現頻度が高いことから、医療従事者ならびにパーキンソン病患者は処方/使用を躊躇するものと思われる
  2. ニューロダームの製品はFDA承認の取得が困難となる可能性がある
  3. 競合製品との生物学的同等性を示すため、競合相手の経口LD/CD製品を併用しなければならない市場では、売上に苦戦を強いられると思われる。ニューロダームの製品の計画は理にかなっていない
  4. ニューロダームの製品が直接の競合製品をしのぐことは難しいだろう

田辺三菱は別の方法で成長目標を追求し、より詳細なデューデリジェンスを実施すべきである。弊社の意見と目標株価は、ニューロダームが公表する臨床および財務データを基にしているほか、この分野の専門家からの多くの助言を得ている。

viceroyresearch.org

@viceroyresearch

Author: Viceroy Research

A group of individuals that see the world differently.

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